2025年6月27日
白内障手術を検討いただくのが良い状況として、視機能(視力やコントラスト感度)が低下して見づらくなった場合の他に、重度の「狭隅角(きょうぐうかく)」と診断された場合があります。
「 白内障はそんなに進んでいなくても、手術が必要なんですか?」 といったご質問をいただくことがあります。 今回は、狭隅角と白内障手術の関係についてできるだけわかりやすくお話しします。
・そもそも「狭隅角」とは?
私たちの目の中では「房水(ぼうすい)」という液体が常に循環しており、目の中の圧力(眼圧)を一定に保っています。 この房水は「隅角(ぐうかく)」と呼ばれる場所を通って排出されます。通常の隅角は開放隅角ですが、生まれつきの目の形で隅角が狭いかたがいます。これが「狭隅角」です。狭隅角の方は年齢とともに水晶体(目の中のレンズ)が厚くなると、この隅角がさらに狭くなってしまい、房水が流れにくくなることがあります。放っておくと閉塞隅角になり、眼圧が急激に上がる「急性緑内障発作」を引き起こすことがあり、強い痛みや視力低下を伴う緊急事態になり、悪くするとその後も視力が回復しない場合もあります。狭隅角は遠視が強い方に多いですが、遠視でなくても狭隅角の方はいらっしゃいます。
・なぜ白内障手術が効果的なの?
狭隅角の原因の一つである水晶体の厚みを取り除く方法として、「白内障手術」があります。白内障手術では、分厚くなった水晶体を取り除いて、代わりに薄い人工レンズ(眼内レンズ)を挿入します。このことで目の中のスペースが広がり、隅角が開いて房水の流れがスムーズになるのです。つまり、「まだ白内障がそれほど進行していない場合でも」、狭隅角の治療・予防のために白内障手術を行うことが医学的に有効なのです。
・手術を進めるのは将来の視力を守るため
「見えているのに手術するのは不安」と思う方もいらっしゃると思います。でも、狭隅角は静かに進行し、ある日突然、緑内障発作を起こすこともあるという特徴があります。それを防ぐための一つの方法として、白内障手術がとても有効なのです。もちろん、すぐに決める必要はありません。あなたの目の状態や生活スタイルに合わせて、最適なタイミングでの治療を一緒に考えていきましょう。
・最後に
狭隅角と診断されたからといって、すぐに心配しすぎる必要はありません。ただし、しっかりとした対策を講じることで、将来の見え方や生活の質を守ることができます。


